休職から復職するとき、年収や等級はどうなるのか。結論から言うと、年収が動く場所は、等級、賞与、昇給、復職後の役割の4つで、どこがどれだけ動くかは、休職した期間の長さより、会社の規程と、復職の際に上司や人事と合意する内容で大きく決まります。休職の制度は法律で一律に決まっているものではなく、会社ごとに就業規則などで定められているためです。

休職の理由は、体調、家族の事情、留学など人によってさまざまです。本記事では、会社の休職の制度を使って休み、同じ会社に戻る場面を中心に、年収が動く4つの場所、それぞれの確認の仕方、段階的な復職の期間の扱い、経験年数の数え方、復職後に転職を考えるときの注意点を整理します。育児休業からの復帰については育休・時短からの復帰で年収を戻す手順で扱っています。

復職で年収が動く4つの場所

復職したときの年収を考えるときは、どこが動くのかを4つに分けて確認すると、見落としを防げます。

動く場所 何が起きうるか 確認するもの
等級と基本給 据え置き、または復職後の役割に合わせた見直し 休職と復職に関する規程、等級の規程
賞与 算定期間に休職期間が含まれると減額や対象外 賞与の算定期間と支給の時期
昇給 評価期間が欠けると、翌年の昇給が見送られることがある 評価制度と昇給の時期
役割と手当 担当範囲が狭まる、役職の手当や残業代が変わる 復職後の業務の内容、役職の扱い

4つは影響が出る時期が違います。等級と基本給は復職した時点で決まることが多い一方、賞与は休職期間を含む算定期間に対応する支給の時期に、昇給は次の評価と昇給の時期に影響が表れます。そのため、復職した月の給与明細だけを見て「年収は変わらなかった」と判断すると、半年後や1年後に想定外の減少に気づくことがあります。

この4つのうち、規程で自動的に決まる部分と、復職の際の話し合いで変えられる部分を分けることが大切です。規程で決まる部分は確認して受け入れ、話し合いで変えられる部分に力を注ぐと、年収への影響を小さくできます。

等級は据え置きか見直しか、規程で確認する

1つ目の場所は、等級と、それに連動する基本給です。復職したときの等級の扱いは会社によって異なり、休職前の等級に戻す運用、復職後の役割に合わせて見直す規程、一定の期間は様子を見て判断する運用などがあります。

休職と復職に関する規程に、復職時の等級の扱いが書かれていることがあります。書かれていない場合は、人事に、復職時に等級を変える予定があるか、変える場合はどの基準で判断するかを確認します。等級が下がると基本給が下がり、賞与の算定の基礎も下がるため、年収への影響が大きくなります。

たとえば、休職前にチームの技術的な判断を任されていた人が、復職後しばらくは担当を絞って働く場合、会社によっては役割に合わせて等級を一時的に見直すことがあります。この場合に確認したいのは、元の等級に戻る条件と時期です。「半年間、担当範囲を段階的に広げ、次の評価で元の等級の要件を満たしていれば戻す」のように、条件が明確であれば見通しを持って働けます。等級制度の読み方は等級・グレード制度と昇格の条件で整理しています。

賞与の算定期間に休職期間が重なる

2つ目の場所は、賞与です。賞与は、決められた算定期間の勤務や評価をもとに支給されることが多く、その期間に休職していた期間が含まれると、減額されたり、評価の対象外になったりすることがあります。

注意したいのは、影響が表れる時期です。たとえば、ある期間に休職し、その期間を含む算定期間に対応する賞与が数か月後に支給される場合、復職して働いている時期に、賞与の減少に気づくことになります。復職の直後は給与が元に戻っていても、次の賞与で年収が大きく減ることがあるため、事前に把握しておくことが大切です。

確認するのは、賞与の算定期間がいつからいつまでか、休職期間を含む場合にどう計算されるか、支給の時期はいつか、の3点です。これが分かれば、復職した年と翌年の年収の見込みを出せます。賞与の算定期間の考え方は入社月と賞与の算定期間で初年度の受取額が変わる仕組みでも扱っています。

昇給の評価期間が欠けると翌年に響く

3つ目の場所は、昇給です。昇給が評価に基づいて決まる会社では、休職によって評価期間の一部が欠けると、その年の評価がつかない、または低くなり、翌年の昇給が見送られることがあります。

厚生労働省の調査では、情報通信業で定期昇給制度がある企業の割合は 89.6%(令和7年(2025年)) です。定期昇給制度がある企業を100としたとき、昇給の内容が業績評価などである企業の割合は 85.9% です(複数回答)。多くの会社で、昇給が評価と結びついていることが分かります。

評価と結びついた昇給では、評価期間の中で働いた期間が短いと、評価の材料が足りなくなります。この影響は、休職した年だけでなく、昇給が見送られた基本給が翌年以降の基準になるため、後の年収にも残ります。復職の際には、休職期間を含む評価期間をどう扱うか、復職後の働きをどの時点の評価に反映するかを確認してください。昇給の仕組みの見分け方は定期昇給とベースアップを給与明細で見分けるで整理しています。

段階的な復職の期間の扱い

休職から復職するとき、いきなり通常の勤務に戻るのではなく、勤務時間を短くしたり、業務を限定したりして、段階的に戻る形を取ることがあります。段階的な復職の期間の給与と評価の扱いは、通常の勤務とは別に確認が必要です。

勤務時間を短くして働く期間は、働かなかった時間の分の給与を支払わない扱いにする会社が多くあります。その期間が賞与の算定や評価でどう扱われるか、通常の勤務に戻る時期を誰がどう判断するかも、会社によって異なります。業務を限定する場合は、担当する業務の範囲が評価の基準にどう反映されるかを確認します。

段階的な復職の期間は、体調や状況に合わせて調整が必要になることもあるため、期間を短くすることを優先しすぎないことが大切です。一方で、期間が決まらないまま時短の勤務や限定した業務が続くと、年収の低い状態も続きます。主治医や産業医の意見を踏まえながら、見直しの時期を上司や人事と決めておくと、見通しを持ちやすくなります。

役割の戻し方を上司と合意する

4つ目の場所は、復職後の役割です。役割は規程で自動的に決まる部分が少なく、復職の際の話し合いで変えられる余地が大きい場所です。

復職の直後は、負担を減らすために担当範囲を絞ることが一般的です。ただし、担当範囲が狭い状態が長く続くと、評価の基準になる仕事ができず、等級や昇給に影響します。また、休職前に担当していた領域を別の人が引き継いでいると、元の役割に戻る機会がないまま時間が過ぎることがあります。

役割については、復職の時点で、どの業務から始め、どの時期にどこまで広げるかを上司と合意しておくことが大切です。たとえば、「最初の数か月は既存の機能の改修を担当し、次の四半期から設計のレビューに戻る。その時点で状況を確認する」のように、段階と確認の時期を決めておきます。役職の手当や、残業の有無が変わる場合は、その分の年収への影響も合わせて確認してください。

勤続年数と経験年数の数え方

休職の期間が、勤続年数や経験年数としてどう数えられるかも、年収に関わります。会社の中での扱いと、転職の際の見られ方の2つに分けて考えます。

会社の中では、休職期間を勤続年数に含めるかどうかを規程で決めていることがあります。勤続年数は、退職金の計算や、年次有給休暇の付与の日数などに関わることがあるため、規程で扱いを確認しておきます。

転職の際には、実務の経験年数が提示額の目安として見られます。当サイトの推定モデルでは、上場・大手、東京勤務、スキル中位の条件で、実務3〜5年の推定中央値は 578万円、実務6〜9年では 693万円 です。休職期間を実務の経験から除いて数えると、経験年数の帯が一つ下に見られる境目にいる人もいます。ただし、経験年数の帯より、任されてきた役割のほうが提示額への影響は大きいため、休職の前後で担った役割を具体的に説明できるようにしておくことが大切です。

休職中の収入の支えを確認する

休職中は、会社から給与が支払われないことが一般的です。休職中の収入をどう支えるかを把握しておくと、復職の時期を焦らずに判断しやすくなります

病気やけがで働けない場合、加入している健康保険から給付を受けられることがあります。対象になる条件、給付の額や期間は、制度や加入している健康保険によって異なります。会社によっては、独自の見舞金や、休職中の一定期間に給与の一部を支給する制度を設けていることもあります。

これらの支えがあるかどうか、いつまで受けられるかによって、生活の計画は大きく変わります。収入の不安から、体調が十分に戻らないうちに復職を急ぐと、再び休むことになり、結果として年収への影響が大きくなることもあります。制度の詳細は、会社の担当者や加入している保険の窓口に確認し、復職の時期は主治医や産業医の意見を踏まえて判断してください。

復職後に転職を考えるとき

復職した後、等級や役割の扱いに納得できず、転職を考える人もいます。転職を考える場合は、復職後の働きを実績として示せる期間を作ってから動くほうが、提示額の面で有利になりやすくなります。

復職の直後に転職活動を始めると、直近の実績として示せるものが少なく、休職の期間についての質問に答える材料も限られます。復職後に一定の期間働き、任された役割で成果を出していれば、今は働くうえで支障がないことを、具体的な仕事の内容で示せます。

一方で、復職後の役割が長期間にわたって限定され、元の等級に戻る条件も示されない場合は、会社の外での評価を確かめるために転職活動を始めることも選択肢になります。その場合は、休職前に担っていた役割と、復職後に取り組んだ内容を整理し、次の職場で任せてほしい範囲を明確にして臨みます。社内で役割を変える方法は社内公募・社内異動で年収を上げられる条件も参考にしてください。

復職の前に確認する5つの項目

復職の前に、会社の規程や人事、上司との面談で、次の5つを確認します。

  1. 復職時の等級と基本給の扱い、変わる場合は元に戻る条件と時期
  2. 休職期間を含む賞与の算定期間の扱いと、次の支給の時期
  3. 休職期間を含む評価期間の扱いと、次の昇給の時期
  4. 段階的な復職の期間の給与、評価、通常の勤務に戻る判断の仕方
  5. 復職後の役割の範囲と、広げていく段階と確認の時期

この5つが分かれば、復職した年と翌年の年収の見込みを出せます。答えを口頭で受けた場合は、面談の記録やメールで内容を残しておくと、後から認識が食い違ったときに確認しやすくなります。

よくある失敗

復職で起きやすい失敗は3つあります。1つ目は、復職した月の給与だけを見て、年収への影響を判断することです。賞与や昇給への影響は数か月から1年後に表れるため、算定期間と評価期間を確認しないと、後から想定外の減少に気づきます。

2つ目は、復職後の役割を決めないまま働き始めることです。担当範囲が狭い状態が期限なく続くと、評価の基準になる仕事ができず、等級や昇給が戻る機会を逃すことがあります。

3つ目は、収入の不安から復職を急ぐことです。体調や状況が整わないうちに通常の勤務に戻ると、再び休むことになり、結果として年収への影響が大きくなることがあります。収入の支えを確認したうえで、専門家の意見を踏まえて時期を判断してください。

まとめ

  • 復職で年収が動く場所は、等級と基本給、賞与、昇給、役割と手当の4つ
  • 休職の制度は会社ごとに定められており、影響の大きさは期間の長さより規程と復職時の合意で決まる
  • 賞与と昇給の影響は、復職した時点ではなく、次の支給や昇給の時期に表れる
  • 段階的な復職の期間と役割の広げ方は、見直しの時期を決めて合意しておく
  • 復職前に、等級、賞与、評価、段階的な復職、役割の5つを確認し、記録を残す

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