フリーランスエンジニアが週3・週4の案件で働いたとき、年収を維持できるのか。結論から言うと、減らした日数の分を、日単価の上昇か、残りの日の別の収入で埋められるかどうかで決まります。フリーランス案件の月額単価は週5日の稼働を前提に掲載されていることが多く、週3・週4の案件では、稼働日数に応じて按分する考え方で単価が決まることが多いためです。何もしなければ、日数を減らした分だけ収入は下がります。

一方で、週3・週4の案件には、残りの日を別の案件や自分の事業、学習に使えるという利点があります。本記事では、フリーランスエンジニアだけの週3案件の相場という根拠の弱い数字は使いません。公開されている月額単価の統計と当サイトの推定モデルをもとに、週3・週4で年収を維持するための4つの条件、日数を減らしても減らない費用、目的別の考え方、契約前に確認する項目を整理します。

週3・週4案件の単価は、週5の按分で考えられることが多い

週3・週4案件の単価を考えるときの出発点は、週5日の稼働を前提とした月額単価を、稼働日数で按分するという考え方です。発注する側は、週5日で依頼した場合の費用を基準に、少ない日数の分を割り引いて考えることが多いためです。

稼働日数 週5の月額単価に対する目安 年収を維持するのに必要なこと
週5 そのまま 稼働を途切れさせない
週4 5分の4 日単価を4分の5に上げるか、週1日分を別の収入で埋める
週3 5分の3 日単価を3分の5に上げるか、週2日分を別の収入で埋める

表の目安は按分の考え方をそのまま当てはめたもので、実際の単価は案件ごとに違います。専門性の高い役割では、按分より高い日単価で合意できることがあります。反対に、週3の案件でも会議や連絡への対応が多いと、実際の負担は日数以上になり、実質的な日単価は下がります。

大切なのは、日数を減らしたときに、何もしなければ収入が日数の比率で下がることを前提にすることです。週3に減らせば、収入は週5のときのおよそ5分の3になります。年収を維持したいなら、この差をどう埋めるかを先に決めてから、案件を選ぶ必要があります。

月額単価の水準を確認する

週3・週4の単価を考える前に、基準になる週5前提の月額単価の水準を確認しておきます。エン株式会社の調査では、フリーランスエンジニアの月額平均単価は 78.3万円/月(2025年12月度)、リモート案件では 80.2万円/月、常駐案件では 76.6万円/月 です。

同じ調査で、フリーランス案件のうちリモートの案件の比率は 42.4%(2025年12月度) です。週3・週4で働きたい理由が、通勤の時間を減らすことや、ほかの仕事と組み合わせることにある場合、リモートで働けるかどうかも案件を選ぶ条件になります。

ただし、これらは掲載された案件の単価の平均で、実際に契約した単価や、稼働日数を減らした案件の単価を示すものではありません。自分の職種、経験、担当する役割によって単価は大きく変わります。平均の単価に日数の比率をかけた金額を、そのまま自分の見込みにしないでください。

正社員の年収と比べるときの考え方

週3・週4の案件を、正社員の年収と比べるときは、額面の単価ではなく、正社員と条件を揃えた数字で比べる必要があります。業務委託の単価には、正社員なら会社が負担する社会保険料の一部、有給休暇、賞与、退職金に当たる分が含まれていないためです。

当サイトの推定モデルでは、フリーランスの報酬を正社員と比べるときに、係数をかけて換算しています。実務6〜9年、スタートアップ、フルリモート、スキル中位の条件で、正社員の推定レンジは 556〜653万円、週5日で稼働し続けた場合のフリーランスの推定レンジは 751〜882万円 です。

週3・週4で働く場合、このフリーランスの推定レンジに稼働日数の比率がかかると考えると、週4では正社員の推定レンジに近づき、週3では下回る水準になります。つまり、按分の単価のまま日数を減らすと、正社員と比べて収入の面での利点は小さくなります。係数の考え方はフリーランスと正社員の年収比較で詳しく扱っています。正社員のまま週4で働く場合との比べ方は週4勤務・短時間正社員の年収で整理しています。

条件1:日単価を上げられる専門性がある

1つ目の条件は、按分より高い日単価で合意できるだけの専門性があるかです。週3・週4でも、発注する側にとって代わりの人を見つけにくい役割であれば、日数を減らしても単価を大きく下げずに契約できることがあります。

日単価を上げやすいのは、設計や技術の方針の判断、チームの技術的な相談役、特定の領域の深い知識が必要な仕事など、稼働時間の長さより判断の質で価値が決まる役割です。たとえば、開発チームの設計のレビューや、性能の問題の調査を週に数日担当する役割は、週5日の実装の担当より、少ない日数でも高い日単価で合意しやすい傾向があります。

反対に、決められた機能を実装する役割は、稼働時間に比例して成果が出る仕事と見なされやすく、日数を減らせばそのまま単価も按分されがちです。週3・週4で年収を維持したいなら、判断を任される役割の実績を先に作り、その実績を根拠に日単価を交渉することが近道になります。

条件2:残りの日を別の収入につなげられる

2つ目の条件は、残りの日を、別の案件や自分の事業などの収入につなげられるかです。日単価を上げられない場合、年収を維持する方法は、残りの日で収入を得ることになります。

よくある組み合わせは、週3の案件と週2の案件を掛け持ちする形です。日単価が同じであれば、計算上は週5の案件と近い収入になります。ただし、実際には、2つの案件の会議の時間が重なる、それぞれの連絡への対応で稼働日以外の時間が取られる、2つの案件の状況を把握する負担が増える、といった調整の費用がかかります。

もう一つの注意点は、案件の終了の時期がずれることです。掛け持ちをしていると、一方の案件が終わったときの収入の減り方は小さくなる一方、次の案件を探す活動が頻繁に発生します。残りの日を自分の事業や、受託の小さな仕事に使う場合は、収入になるまでの時間を見込んでおく必要があります。副業としての仕事の選び方はエンジニアの副業の始め方も参考になります。

条件3:案件が途切れる期間を見込んでいる

3つ目の条件は、案件が途切れて収入がない期間を、年収の計算に入れているかです。月額単価に12か月をかけた金額は、1年間途切れずに稼働し続けた場合の数字で、実際にはそうならないことがあります。

週3・週4の案件は、週5の案件と比べて、希望する条件に合う案件を探すのに時間がかかることがあります。稼働日数、リモートの可否、役割、単価の条件を同時に満たす案件は、時期によって見つかりやすさが変わるためです。案件の終了から次の案件の開始までに空白の期間ができると、その期間の収入はありません。

年収を見込むときは、稼働できる月数を少なめに見積もり、空白の期間の生活費を別に確保しておくことが大切です。たとえば、前の案件が終わる時期の数か月前から次の案件を探し始める、契約の更新の単位と終了の通知の時期を確認しておく、といった準備で、空白の期間を短くできます。

条件4:契約で稼働の範囲が区切られている

4つ目の条件は、契約で、稼働する日と時間、対応する範囲が区切られているかです。週3・週4の案件で最も起きやすい問題は、稼働日以外にも連絡や会議への対応を求められ、実際の負担が日数を超えることです。

準委任の契約では、1か月の稼働時間の上限と下限を決め、その範囲を超えたり下回ったりしたときに報酬を調整する精算の条件を置くことが一般的です。週3・週4の案件では、この範囲が週5の案件より狭くなるため、稼働日以外の対応が稼働時間に含まれるのかどうかを明確にしておく必要があります。準委任の精算の考え方は準委任と請負の違いで整理しています。

たとえば、「稼働日は火曜・水曜・木曜、それ以外の日の連絡は翌稼働日に対応」と決めておけば、残りの日を別の仕事に使いやすくなります。反対に、稼働日が決まっておらず、チャットへの即時の対応が求められる案件では、日数を減らしても時間の自由は増えず、掛け持ちも難しくなります。

日数を減らしても減らない費用

週3・週4で働くときに見落としやすいのが、稼働日数を減らしても減らない費用です。収入は日数の比率で下がりやすい一方で、費用は日数に比例して下がらないものがあります。

仕事に使うパソコンや道具、ソフトウェアの利用料、会計の処理、仕事に関わる保険などは、稼働日数に関係なくかかる費用です。また、社会保険料や税金は、収入や制度によって決まるため、日数を減らしたからといって同じ比率で減るとは限りません。個別の保険料や税額は、専門家や窓口に確認してください。

これらの費用を考えると、収入が日数の比率で下がったときに、手元に残る金額はそれ以上の比率で下がることがあります。週3・週4を選ぶ前に、減らない費用を一覧にして、日数を減らした後の手取りの見込みを出しておくことが大切です。

週3・週4を選ぶ目的別の考え方

週3・週4の案件を選ぶ目的によって、年収の維持をどこまで重視するかは変わります。目的を一つに決めてから、案件と残りの日の使い方を選ぶと、判断がぶれにくくなります。

収入の維持が目的なら、条件1の日単価の上昇と、条件2の残りの日の収入が中心になります。この場合、残りの日を空けておく余裕はあまりないため、掛け持ちの調整の費用を小さくできる契約を選ぶことが大切です。

単価を上げるための実績づくりが目的なら、残りの日を学習や、判断を任される役割の経験に使います。一時的に年収が下がることを受け入れ、その後の日単価の上昇で取り戻す計画になります。育児や介護、体調との両立が目的なら、無理に残りの日を埋めず、収入の下がる分を生活の計画に組み込みます。いずれの場合も、1年後にどうなっていたいかを決めておくと、案件の選び方に一貫性が出ます。

契約前に確認する項目

週3・週4の案件の契約を結ぶ前に、次の点を確認します。

  • 稼働日は固定か、週の中で自由に選べるか
  • 1か月の稼働時間の上限と下限、超えたり下回ったりしたときの精算の方法
  • 稼働日以外の連絡や会議への対応が、稼働時間に含まれるか
  • 担当する役割が、判断を任されるものか、実装が中心か
  • 契約の更新の単位と、終了を通知する時期
  • リモートの可否と、出社が必要な日の決まり方

これらが明確であれば、残りの日を別の仕事に使えるか、実質の日単価がいくらになるかを見込めます。答えが曖昧な場合は、契約書に反映してもらうように依頼してください。

よくある失敗

週3・週4の案件で起きやすい失敗は3つあります。1つ目は、週5の月額単価に日数の比率をかけずに収入を見込むことです。按分された単価で契約すると、収入は日数の比率で下がります。

2つ目は、稼働日以外の対応の扱いを決めずに契約することです。連絡や会議への対応が稼働日以外にも求められると、実際の負担は日数を超え、残りの日を別の仕事に使えなくなります。

3つ目は、残りの日の使い方を決めないまま日数を減らすことです。収入も単価も伸びず、空いた時間も有効に使えないまま期間が過ぎることがあります。日数を減らす前に、目的と残りの日の使い方を決めておいてください。

まとめ

  • 週3・週4案件の単価は、週5の月額単価を稼働日数で按分する考え方で決まることが多い
  • 年収を維持するには、減らした日数の分を、日単価の上昇か残りの日の別の収入で埋める必要がある
  • 4つの条件は、日単価を上げられる専門性、残りの日の収入、空白期間の見込み、契約での稼働の範囲
  • 日数を減らしても減らない費用があり、手取りは収入の比率以上に下がることがある
  • 目的を一つに決め、契約前に稼働日、精算、稼働日以外の対応、更新の条件を確認する

週3・週4に切り替える前に、今のスキルで正社員として働いた場合の推定レンジを確認しておくと、比較の基準になります。